今回は関ヶ原フィールドワークに同行した様子をお届けします。どうぞ!!
11月23日(木)、大谷大学は長野県にある伊那西高校と岐阜県関ケ原町にて高大連携フィールドワーク講座を行った。
歴史学科日本中世史コース中世後期ゼミの講師である川端泰幸氏の解説の元、フィールドワークに参加した川端ゼミ生と高校生はともに1600年に起きた関ヶ原の戦いで実際に戦地となった場所を訪れた。
実際に関ヶ原を周る前に、関ケ原町歴史民俗資料館の職員から大まかな戦いの様子を解説していただき、資料館に展示されている鎧や書状などを見学した。
館内は23日が祝日だったことや映画『関ヶ原』の影響もあり、年配の方や親子連れなどの姿が見られた。
雨の影響で松尾山の登山が中止になるなど天候には恵まれなかったものの、高校生は東軍の陣営を巡るコースと西軍陣営を巡るコースの二手に分かれ、自転車で町内を散策し自由にフィールドワークを楽しんだ。
(出発前の関ヶ原一行)
はじめに、東軍陣営は最初に徳川家康が陣を敷いた桃配山を訪れる予定だったが、現在大規模な改修工事が行われており山内への立ち入りが禁止されていたため次の目的地である本多忠勝の陣へ向かった。
忠勝の陣は現在住宅地になっており、かつての大戦場にも今となっては人が住んでいるという時代の流れを感じさせた。
(本多忠勝の陣)
続いて訪れた福島正則の陣は向かう途中に大雨に遭い、雨具を着用し視界の悪い中懸命に自転車にて移動した。
陣にたどり着き見学していると空は晴れ虹を見ることが出来た。
正則の陣は樹齢約800年の御神木の下にあり、小さなお社と鐘があった。高校生たちは鐘を鳴らし、関ヶ原の空には重々しい音が鳴り響いた。
(福島正則の陣)
その後東首塚を訪れ、戦死者たちの死体の処理の話をゼミ生が語ると高校生たちは熱心にその話に耳を傾けていた。
また、東首塚のすぐ隣には大河ドラマ『おんな城主 直虎』にて菅田将暉が演じる井伊直政とその娘婿である松平忠吉の陣があった。陣に自生していた美しく色づいた紅葉の赤は、首塚で洗われた戦死者たちの流した血液と直政の愛用していた赤備えの鎧を思い起こさせた。
それからしばらく自転車で移動し、一行は関ヶ原の戦いの決戦地へ訪れた。
(決戦地)
ここは最大の激戦地であり、西軍の石田三成の陣がはっきりと見える位置にあった。
最後に関ヶ原の東軍陣営で大きな武功を挙げた細川忠興の陣を訪れると、周辺は児童公園と貯水池になっていた。
その後訪れる予定だった黒田長政と竹中重門の陣は距離と時間の関係で断念したが、忠興の陣からわずかにそれらしい旗を見ることが出来た。
西軍陣営は決戦地を訪れたのち、石田三成の陣へ向かった。
(石田三成の陣)
行く途中は急な登り坂になっており、攻め込んだ東軍はいかに不利な状況であったかが実感できた。
その後は島津義弘の陣や開戦地を巡った。島津義弘が鹿児島の人々に愛されている勇ましい武士であることや、先陣が福島正則と決まっていたにもかかわらず、井伊直政と松平忠吉の抜け駆けによる予定外の開戦であったことなどが、講師やゼミ生から解説された。
天候不良により予定していた箇所全てを周ることは出来なかったが、高校生は講師やゼミ生の解説に熱心に耳を傾け、学びを深めていた。
フィールドワーク終了後、高校生たちに話を聞いた。
関ヶ原を巡った感想を聞くと
「戦国の世を戦った武士たちがとてもかっこよく思えてきた」
「ここで天下分け目の戦いがあったおかげで今があるんだと感じた」
と目を輝かせて答えてくれた。過去の出来事が今に繋がっていることを学び取ったようだ。
参加した理由については
「歴史に興味があった。普段の自分はあまり積極的ではないけれど、今回思い切って参加してみてよかった」と語り、このフィールドワークに満足している様子だった。
「学生さんの分かりやすい説明で、歴史を楽しく学べた」
と、ゼミ生の話を聞き、歴史を学ぶことに興味を持った高校生もいた。
翌日は、大谷大学で伊那西高校の生徒によるパワーポイントを用いての発表があった。
東軍西軍に分かれての発表で、高校生たちは緊張している様子だったが、自分の考えも述べながら学んだことを発表していた。
(発表の様子)
同行した戸田みず季さん(歴史学科・第1学年)は伊那西高校出身で、自らも高校2年生の時に関ヶ原フィールドワークに参加している。
そんな彼女は後輩へ向けたアドバイスとして
「ぜひ好きなことをやってほしい。私も歴史が好きという理由で大谷大学を選んだ」と語った。
今回のフィールドワークでは、自身が愛する島津義弘についての豊富な知識を高校生の前で披露する姿が印象的だった。
この企画は毎年行われており、今年で4年目だ。
先輩から後輩へ、過去から現在へ、古戦場での学びはこうして受け継がれていくのだろう。
この企画が続く限り、大谷大学新聞社は高校生が学びを深める姿を見つめていきたい。
今回は特別更新のため余談はありません。